ヤマニの技術

No.05「空き家率の上昇」という工業化の「副作用」。

住宅の大量供給という変革は、建築業界に大きな「副作用」をもたらしました。それは現在、社会問題になっている「空き家率の上昇」です。住宅の大量供給と空き家率の上昇にはどんな因果関係があるのか、まずはその仕組みを大まかにご説明していきましょう。

住宅を短い期間で大量供給するためには、古い家を直すより分譲地を造成した方が簡単です。その結果、人が住まない古い家が取り残され、戦後1%台だった日本の空き家率は2013年で13.5%=819.6万戸になってしまいました。

この状況に危機感を持った国は、中古住宅をリニューアル(リノベーション)して再利用することを推進しています。しかし、再利用には高度な建築技術が必要不可欠。つまり、合理化・工業化した住宅をつくり続けてきた大工たちの手には負えません。これが、中古住宅の流通が広がらない要因のひとつだとも言われています。

NEXT→いい家を建てたくても建てられない消費者たち。

  1. No.10
    私たちがめざす建築の仕事。
  2. No.09
    注文住宅に対応できる設計士とは。
  3. No.08
    自社で大工を育てる理由。
  4. No.07
    今、敢えて注文住宅に取り組む意味。
  5. No.06
    いい家を建てたくても建てられない消費者たち。
  6. No.05
    「空き家率の上昇」という工業化の「副作用」。
  7. No.04
    人口爆発、大工の増加と工業化を振り返る。
  8. No.03
    日本が迎えた、建築文化の危機。
  9. No.02
    日本が世界に誇る、建築文化の歴史。
  10. No.01
    【はじめに】建築業界の変化と、未来を読み解くために。