住宅の大量供給という変革は、建築業界に大きな「副作用」をもたらしました。それは現在、社会問題になっている「空き家率の上昇」です。住宅の大量供給と空き家率の上昇にはどんな因果関係があるのか、まずはその仕組みを大まかにご説明していきましょう。
住宅を短い期間で大量供給するためには、古い家を直すより分譲地を造成した方が簡単です。その結果、人が住まない古い家が取り残され、戦後1%台だった日本の空き家率は2013年で13.5%=819.6万戸になってしまいました。
この状況に危機感を持った国は、中古住宅をリニューアル(リノベーション)して再利用することを推進しています。しかし、再利用には高度な建築技術が必要不可欠。つまり、合理化・工業化した住宅をつくり続けてきた大工たちの手には負えません。これが、中古住宅の流通が広がらない要因のひとつだとも言われています。